上の写真:マリオン島のハツカネズミ、写真:Ben Dilley

これはマリオン島に導入されたハツカネズミMus musculusに関するシリーズの第3弾である。 本書は、1975年から1995年にかけて行われた生物学的研究を網羅したものである。 (その
最初の
は、1773年にこの島が発見され、1818年にはすでにネズミがこの島に生息していたことを示した。 第2部
第2部
は、1948年に南アフリカがこの島を併合してから、1974年にマウスに関する最初の科学論文が発表されるまでの期間を考察した。 シリーズ第4部(完結編)では、1995年以降から現在までに行われた、より保護に重点を置いたアプローチの研究を紹介する。

この20年間、マリオン島の外来マウスについて行われた研究は、主に学術的なものであった。 2つの重要な研究が、プレトリア大学の大学院生への修士号授与につながった。 哺乳類研究所1981年には故ジェームス・グリーソンが、1993年にはドナルド・マシューソンが監修した。 ルディ・ヴァン・アルデ 以前、島の野良猫の調査を行っていた ネコ科動物今ではありがたいことに絶滅した。 ジェームスとドナルドは、生息地の利用、密度の季節変動、繁殖、食餌など、マウスの生態と個体群生物学の側面を研究した。 重要な発見は、マウスが年間を通して無脊椎動物に依存していることで、夏場は植物がより多く食餌に含まれる。 胃からは鳥類がわずかに見つかったが、これはウミツバメの死骸をあさったものと思われる。 鳥類が捕食されている証拠はなく、1980年代初頭にはジェームズ・グリーソンもその可能性はないと考えていた。

第36次マリオン島越冬隊(M36、1979/80年)。 左端が故ジェームス・グリーソン氏、写真は南アフリカ国立南極計画より

第48次マリオン島越冬隊(M48、1991/92年)。 ドナルド・マシューソンは前列右から2番目に座っている。

1994年、シルヴィア・カークマン(旧姓メチェネロ)は、プレトリア大学の動物学の優等生プロジェクトとして、マリオンのネズミの個体群生物学を研究した。 1979/80年にジェームズ・グリーソン、1991/92年と1992/93年にドナルド・マシューソンが収集したデータを使用した。 この期間中に行われたマウスに関するその他の研究には、エネルギー代謝の側面と無脊椎動物への影響、特に飛べない蛾Pringeophaga marioniの幼虫に関するDavid Rowe-Roweらの研究、生態系機能におけるマウスの役割に関するJan Craffordらの研究がある。 1990年代前半に行われたスティーブン・チャウンとヴァルドン・スミスによる重要な研究では、地球温暖化がマリオン島におけるネズミと植物と無脊椎動物の相互作用に及ぼす影響を調査し、近隣のネズミのいないプリンス・エドワード島での調査結果と比較することで理解を深めた。 長いキャンペーンの末、1991年にマリオンの野良猫が絶滅したことで、ハツカネズミはマリオン島に残る唯一の外来哺乳類となった。

 

1992年、私は
フランスで開催されたSCAR/IUCNのワークショップ
このワークショップでは、マリオンを含む亜南極諸島の保全の進展について検討された。 私は、導入生物相に関するワークショップの提言をまとめる仕事を任された。 振り返ってみると、私はハツカネズミについてほとんど語ることがなく、むしろ駆除の対象としてより大型の移入哺乳類に集中していた。 ワークショップの全体的な提言にも、マウスについての言及はなかった。

1994年にサバティカルでニュージーランドの亜南極を短期間訪れた後
エンダービー島
1994年、ニュージーランドの亜南極にあるエンダービー島を短期間訪れた私は、その前年に導入されたハツカネズミが根絶されたことを知り、マリオンのハツカネズミが絶滅する可能性に興奮して帰国した。 1995年2月、プレトリア大学で開催された2日間のワークショップで、私はスティーブン・チャウンと共同で、マリオン島におけるネズミの影響とその根絶の可能性について検討した。 ワークショップでは、根絶は実現可能であり、かつ望ましいと結論づけられたが、その前に「かなりの管理調査」が必要であると指摘し、明らかになった知識のギャップに対処するための5カ年計画を提案した。 最後に、このワークショップは、南アフリカ政府のプリンス・エドワード島管理委員会(当時)の後援のもと、マウスに関するワーキンググループの結成を推奨した。 このような作業部会は実現しなかったが、その後28年間にわたり、以下のようなことが行われた。
マウス・フリー・マリオン・プロジェクト
マリオンのネズミに関するこのシリーズの第4部で取り上げる。

 

参考文献

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ジョン・クーパー(ニュース特派員、マウスフリー・マリオン・プロジェクト、2023年8月22日

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マリオン島でヒナを守るオスのワタリアホウドリ=写真:ショーン・エヴァンス、ポスターデザイン:ミシェル・リジ

 

Mouse-Free Marion Projectは、南洋に浮かぶマリオン島でアホウドリを殺す侵略的なネズミを根絶するために設立された南アフリカの登録非営利企業(No.2020/922433/08)である。 によって開始されたプロジェクトです。
バードライフ・サウスアフリカ
と南アフリカ共和国の
林業・漁業・環境省
. このプロジェクトが成功すれば、200万羽を超える海鳥の繁殖地が回復し、その多くが世界的に絶滅の危機に瀕しており、温暖化する気候に対する島の回復力が向上することになるのです。 プロジェクトの詳細や支援については、以下のサイトをご覧ください。
mousefreemarion.org
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